~植物医療の起源と流れ~
植物を使った医療の源流は、世界中でほぼ同時発生したと推察できます。世界中のいたるところ、ジャムーゲドンのように、一軒一軒の家にその家族の伝承医療があったはずだと思っています。
それが、文字として残されたものが、今にいたる植物療法の主流となりました。また、現代西洋医学の起源そのものも、この植物療法にあります。
文字が使われるようになった5000年程前、世界各地に植物を薬として使った医学の源流が生れました。
その最初のものが、BC3000年にイラクのシュメール人が粘土板に絵文字として残した、各種薬草のリストです。
追ってBC1700年。エジプトのナイル川の流域に自生していた植物パピルス(カミガヤツリ)から、世界最古の紙つくられるようになり、これに書かれたのが、700種類の薬用植物の特長と使い方です。「エーベルス・パピルス」は、110ページ、20mの長さに及ぶそうです。(これは、BC3400年に書かれたものの書き写しともいわれていますが。)
また、エジプトの古墳に、当時つくられたミイラが多く発掘されていますが、ミイラ作りの技術を検証していくと、人体生理や解剖学を知り尽くし、高度な薬草の知識が駆使され、目を見張るものがあるそうです。
抗菌・防腐・保存作用を主とした多くのハーブが使われ、遺体に巻かれた布はターメリック等、これも防腐・抗菌作用が高く、より多くの染料を持った植物で染められていました。布の堅牢度を高め虫よけとなったでしょう。
また、古代エジプトの壁画に、ハトシェプスト女王の行幸に従者がハーブを携えてお伴している場面や、薬草をすり潰している場面等が詳細に描かれていますが、日々の生活に、食用・薬用・染料など多岐にわたって薬用植物が使われていたことは、想像に難くないことです。
世界の4大古代文明の発祥と、伝統医学(植物療法)の発祥はほぼ一致します。パピルス等に残されたエジプト医学は、その中の一つとして、エジプト文明に暖められました。追記すると、アーユルヴェーダにおけるインダス文明、中国医学における黄河文明、古代ギリシャ医学におけるギリシャ文明がそれです。
その4大文明の中で、現代西洋医学のもとになったのが、古代エジプト・ギリシャの医学です。代表されるのは、現代医学の始祖とも医聖とも言われているヒッポクラテスです。その著書「疾病論」(BC420年頃)は、今でも西洋医学を学ぶ学生の教科書で最初に紹介されるものですが、内容は、400種類にも及ぶ薬用植物の使い方でした。どのような症状の時に、どのような植物をどのように使うか、といったものです。植物の薬用知識と医学は不可分の関係だったのです。
また、世界3大医学の紹介をすると、これも、薬用植物の紹介そのものなのです。
世界で最も旧くに体系化されたアーユルヴェーダは、紀元前3000年頃に北インドを中心に発祥・発展しました。健康の維持・増進を目指すもので、チベットや東南アジアの医学に影響を与え、多くの薬用植物を利用するものです。日本でも、現代アーユルヴェーダを学び利用する人は多くいます。
2つ目は、中国医学(中医学)です。発祥は400年頃で、神農本草経に流れをくむものです。薬草の内服に加え、鍼灸・按摩を合わせた医学を体系化しました。日本の伝統医学(和法)や韓医学に影響を与えました。
3つ目は、古代ギリシャ医学を起源とするユナニ医学。確立されたのは、10世紀頃。アラビア文化圏、イスラーム文化圏で発展し、ヨーロッパやインドでも広くおこなわれました。特に、15~18世紀のヨーロッパの大学では、主にユナニ医学が教えられました。芳香植物から精油を抽出したイブン・スィーナの「医学典範」が教科書として使われ、自然治癒と病気の予防が重視された。最高の医学書ともいわれます。
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